NOK×日刊工業新聞Jbet365 入金方法nagram
技術コラム
technical column
技術コラム technical column
NO.112024/2/26
用途広がるFPC、車の電動化に商機
薄く柔軟性のある回路基板で、電子機器の小型化や部品実装性などに優れるフレキシブルプリント基板(FPC)。NOKグループで主力事業の一角である電子部品事業をカバーする日本メクトロン(東京都港区、伊藤太郎社長)は、FPCのグローバル市場で売上高第3位の位置にある。1969年の事業開始以来、国内FPCのパイオニアとして市場を先導してきた。
車載電池用で世界トップクラス
FPCは硬質基板に比べ薄く、軽量で自在に曲げられる特徴がある。そのため一眼レフカメラやハードディスク駆動装置(HDD)、携帯電話などに採用され、電子機器の進化とともに日本メクトロンも成長を遂げてきた。
22年度の日本メクトロンのbet365 入金方法販売構成は、スマートフォンなど携帯電話向けが51%で半分を占め、車載用途は25%。需要変動が激しい携帯電話向けは、売上高を維持しつつ販売構成比を下げ、市場拡大が見込まれる車載向け比率を伸ばす計画。25年度には携帯向けと車載向け売り上げ構成比が各4割ずつを占める目標を掲げる。
同社は車載向けFPC市場開拓に向け、FPCのパイオニアとして培った技術とbet365 入金方法力、顧客の近くでbet365 入金方法供給できる世界14カ所の生産拠点、グループ総合力といった強みを生かす。電気自動車(EV)のバッテリー電圧監視システムに使うFPCを他社に先駆けてbet365 入金方法化。急速に電動車が普及する中国の電池メーカーなどで採用が進み、強みを最大限に生かして販売を伸ばしている。現在は車載電池用FPCで世界トップクラスのシェアを誇る。
車載用電池の角セル、ラミネートセル、円筒形セルの各タイプで採用実績があり、2メートルを超える長尺FPCの対応も可能だ。顧客要求に合わせたFPC材料開発に加え、コネクターなどの部品実装、コンフォーマルコーティングなど後工程まで一貫して同社内で担えるのが特徴。営業本部 営業2部 営業3課の北淳一郎課長は「車載電池用FPCの販売は、今後も電動車需要の拡大に伴い増加する」と予測を示し、提案を強化する。今後もグローバルで拡大する電動車の需要を取り込んでいく構えだ。
FPCの利点、次世代車で生きる
車載部品にFPCを用いると、各部品をケーブルなどでつなぐ工法に比べ、トータルでコストダウンできる。コラムスイッチであれば使う部品を14点から4点に減らした実例もある。FPCで微細なパターンとコネクタレスが実現でき、部品の小型化に寄与する。基板やコネクター、配線などを一体化して大幅に部品点数を減らせるため工数も減り、組み付けも容易にできる。さらにFPCは折り曲げて立体的に這わすことができるため、デザインの自由度も上がる。
一例は車のライト。従来の「明るく照らす」用途に加え、エンターテインメント性が求められる傾向にある。車室内の天井を星空に見立てて空間を演出するアンビエントライトや、エンジン冷却が不要になり生まれたEVのフロントグリルスペースに表示機能を持たせる時には、長尺やワイドスケールの特徴を持つ同社のFPCが有効となる。
また、次世代車に搭載される多くのカメラやセンサーの曇り止めとして、必要な部分のみに熱を与えるヒーター装置や、運転席・助手席を効率的に温める薄型の輻射ヒーター、ウォッシャー液の凍結防止用ワイパーヒーターなどにも需要も見込め、NOKグループの技術力を生かす“商機”は大きい。
さらに先進運転支援システム(ADAS)や自動運転技術の進展で高性能センサー「LiDAR(ライダー)」も成長市場。同社が手がける、FPCに外部からの水や塵などの侵入を防ぐガスケットを一体化した「FPC一体ガスケット」が、海外メーカー車に採用されることが決まった。FPC一体ガスケットを使うと、顧客はLiDAR生産の防水機能のほかに工数減や修理の際の利便性向上などが期待できる。
同技術はもともと携帯電話向けで培ったもの。民生向けの技術を、注力している車載向けに応用し採用された初の案件で、こうした事例を増やしたい考えだ。営業本部 営業2部の片寄倫太郎副部長は同社のFPCについて「長年培った技術で新しい用途を生み出す力があり、モビリティの未来を作っていける存在」とし、次世代車で生まれる新たな需要への対応に自信を見せる。
新たに生まれるbet365 入金方法に対して、材料評価、各種試験、設計のシミュレーションなど設備やノウハウを持ち、社内で行えるのも同社の強み。培った技術力と新たに生み出すbet365 入金方法やソリューションで、持続的成長を目指す。
(写真上)
北 淳一郎
日本メクトロン株式会社 営業本部 営業二部 営業三課長
大阪、タイ、東京、シンガポールで営業として日系の大手家電や車載メーカーを担当。2019年からコロナ禍の中国・珠海工場で3年間、プロジェクトマネージャーとして車載用途の新規案件に携わる。現在は営業本部で海外の車載用バッテリーやその他車載用途の拡販推進や販売を管理する。
(写真下)
片寄 倫太郎
日本メクトロン株式会社 営業本部 営業二部 副部長
日本メクトロン入社後、2017年までFPCの製造技術・実装技術の業務に従事、bet365 入金方法・工法開発、試作、量産立上げ業務に携わる。途中、技術部門のマネジメントとしてタイへ出向。2017年からは車載バッテリー用FPCのアプリケーションエンジニアとなり、専任で拡販業務に従事。現在は支店および販売会社の拡販サポート、販売・マーケティング業務を担当している。
※記事内のデータ、所属・役職等は2024年2月現在です。